愛しのSW


ローカルテーマパーク・スペースワールドの思い出はいつも不思議にキラキラしています。
近未来宇宙風の作り込まれた世界観にワクワクし、ルナエキスプレスで月面ジオラマを眺めてはしゃいだこと。
10代の頃、気の置けない仲間たちとワイワイやるにはちょっと閑散としているくらいの園内がちょうどよかったこと。

そんな思い出深いスペースワールドが2017年12月をもって閉園すると聞いて、10年ぶりに友達と行ってきました。

 

 

博多駅から快速に揺られて1時間。お天気はかなり雨よりのくもりです。

 

 

年季の入った園内に、別れを惜しむ人たちがあふれています。アトラクションは軒並み1時間待ち、こんなの見たことなかったな〜。

 

 

園の中心的施設だったスペースドーム。今は赤く錆びてしまって、この中にたくさんあったアトラクションもほとんど剥ぎ取られてしまっていますね。

 

 

ここではスペースワールド27年の歴史を振り返る展示会が。あちらこちらで見覚えのあるアトラクションに「あ〜これこれ!」と盛り上がる声が聞こえます。
写真は昔設置されていた案内地図。30年近くも前に、たぶん近未来の3Dっぽさを出そうとしてすごくがんばっていたんですよね。

 

 

スペースドーム内のコスモピア。昔はここがまさに宇宙港!といった感じの内装になっていて、幼心にもワクワクしたものなんですが、今はむしろボロボロのディテールと暗い照明で片田舎の廃港っぽさがただよっていて……あれ?1周して別のよさがありますね?

 

 

ちなみに、ザ・ターンやタイタンなどの絶叫マシーンが有名なスペースワールドですが、真のよさは「小ネタ」にあるんです。
たとえばこんな。宇宙人向けという体裁の標識なんて、ちょっとクスっとなりません?

 

 

サイン、だめなのか〜。

 

 

古いタイプの人間なので、テーマパークっていうのはひとつながりになった小さな異世界じゃなきゃならない、と信じています。
そして、既存のキャラクターやド派手なアトラクションだけじゃ絶対にみんなを異世界に飛ばすには足りないってことは、どんどん忘れられてしまっているんですよね。

 

 

結局、わたしたちは少しのアトラクションに乗って、それから園内を3周も4周もして、最後に観覧車からぼんやりスペースワールド全景を眺めてから帰路につきました。
なんの特別なこともない「さよなら」の日はこうして終わったのです。

 

 

思い出の場所がなくなるということはものすごく特別なライフイベントだと思います。

なくして悲しい思い出がある、ということをほんとうに感じることができるのは、それがなくなるときだけ。この日、わたしたちはきちんとそれを見ることができて満足でした。

それに、ボロボロの園内をたくさんの人たちが笑いながら歩き回るのは、まるでスペースワールドが最後の夢を見ているみたいで、そう、例えば星新一の「午後の恐竜」みたいで悪くなかったし。

 

さよなら愛しのSW、またいつか、別の星で。