ホテル裸島


熊本県南部にある「津奈木町」をご存知でしょうか。
東南北の三方を山に囲まれ、西は不知火海に面していて、町の「つなぎ美術館」では2008年から住民参画型アートプロジェクトに取り組んでいます。

今回、そんな津奈木町で「西野 達」さんによるアート作品「「海に浮かぶホテル」ホテル裸島 リゾート・オブ・メモリー」が開催されている情報を得て、行ってきました。
西野 達さんは、ベルリンを拠点に活動するアーティストで、公共空間を中心に大型プロジェクトを行うことで国際的に知られています。

アートの舞台になったのは、町の海側に位置する、校庭を確保するため校舎が海上にあるという、日本で唯一の’海上小学校’として知られた「旧赤崎小学校」。


白い建物が校舎です。

児童数減少のため2010年3月に廃校となり、現在は耐震強度の問題から立ち入ることができないのですが、2013年にもアートプロジェクト「赤崎水曜日郵便局」(2014年グッドデザイン賞受賞)の舞台となりました。

校舎に一番近い島が、潮が引くと道が現れて辿り着くことができるようになるという「裸島」と呼ばれる島で、赤崎小学校の生徒達はこの裸島を眺めて育ったといいます。今回の作品の名前もここからつけられました。

校舎の窓の下は海。昔はプールはなく、水泳の授業は海だったそう。

校庭の奥、防波堤の先に「ホテル裸島」が現れました。右手に裸島が見えます。

 

こちらのホテル裸島。赤崎小学校の校舎の建材を素材として使用し制作されています。
また、もう応募は締め切られましたが、宿泊も可能。応募には自身の「子どもの頃の海の思い出」を提出し抽選されます。現地スタッフの方に聞いたところ、3度応募した方もいたようです。

 

写真で少しは雰囲気が伝わるでしょうか。

玄関から入ると左がサニタリー、右がベッドルーム。

左にシャワールーム、右に窓があります。床と壁のタイルは小学校と同じものが使用されているそうです。

黒板(もちろん小学校のもの)に間取り図、パーツの紹介がありました。

照明器具、引違い扉、教室の窓、トイレのガラスブロック、校長室のソファーとテーブル、理科室の棚。工作室の作業代で作られたベッドに、小学校プールのシャワー。
全部写しきれてはいませんが、よーく見てみてください。

触ったことがあるような扉でした、可愛いです。

部屋から見える、裸島とその奥の弁天島、黒島。

窓の下は海。
水がものすごく透き通っていて魚がたくさんいました。

空間には、ホテルの一室プライベートな雰囲気と小学校のパーツが醸す懐かしさがあって、
ここを訪れた人宿泊した人、いろんな人の想いが重なり、全部が合わさって作品なんだと感じました。 かっこよかった・・。

 

この日は生憎の天気でしたが、天気がいい日は沈む夕日を見ることができるそう。

周辺は、きっと海と夕日の眺望のために建てられた家がぽつぽつと並ぶ町並みで、
また、夕日を見に行きたいと思いました。