物件案内に向かう道すがら、いつもそばに海があるのはいい。
今日はお昼前から出かけ、夕方、戻る頃にはこんな光景が。
脈絡もなく、与論島の古い島唄が脳裏に蘇ってきた。20年ほども前、島に滞在したとき、宿の奥さんが親からよく聞かされたといって教えてくれた唄だ。
「打ち出しょり出しょりヨー サァ誠打ち出しょりイエサー
誠打ち出しゃばヨー サー何恥かちゅんがウリイエサー」
与論は誠の島である。その誠をもって接しなさい。そうすれば何も恥ずかしいことはない、といった意味である。
この島唄を抱いて若者は島を出る。やがて誠の心を持ってまた島に帰ってくる。
そうはきれいにいかないかもしれないけれど、島の人たちの故郷を思う気持ちはとても強い。
与論の子どもたちの多くは、高校を卒業すると進学や就職で島を離れるのだが、Uターン者も多い。30代から40代の人たちの話を聞くと、長男でなくても、どこか初めから戻ることを前提にしているようなところがある。この地域独特の根っこの強さを感じるのだ。
「誠を打ち出す」というなんとも力強い表現に島の人の思いがにじみ出ているようで、胸を打つ。
さあ、もう一仕事。誠を打ち出そう。
小春日和の糸島の海が、記憶の底の与論島を呼び覚ましてくれました。