昨年あたりから志賀島で”みちきり“さんのプロジェクトの不動産実務のサポートをさせていただいたり、糸島方面での仕事もあるので市街化調整区域内の物件の相談も多く、先日あった出来事を少し。
まず、市街化調整区域とは都市計画法による都市計画区域のうち、原則として開発が抑制されている区域。要は、街並みが形成されているのが市街化区域で、田舎暮らしなんかがイメージされる奥の方のエリアが調整区域です。それでここではもう細かい話は割愛しますが、調整区域では、新たに家を建てたい!とかお店を始めたい!とかいっても難しいのが基本で、いくつかの要件が満たされないとそういったことはできません。
そして今回。
某島内での売却希望の一軒家。過去に中古で現所有者Aさんが元々の所有者Bさんから購入されたものですが問題が・・・。
調整区域では基本的には新たに家を建てたい!とかお店を始めたい!というのは難しいと前述しましたが、それでもすでに家があったりお店があったりはします。それは、ざっくりとは何かしら要件が満たされ認められ開発されたり建築行為が認められたものと、もともと調整区域に指定される前からそこにあった(建っていた)ものなどに分類されます。
今回のお宅は後者で、元々の所有者のBさんが家を建てるために持っていた土地、その後にそのエリアが調整区域に指定、指定後の法律では建てれなくなるので、もともと持っていたBさんに対してはBさんの専用住宅としてなら指定後も建てていいですよってことで猶予が与えられていて建築に至っている。
ここで、不動産業以外の方でちょっとした違和感に気づく人は少ないかもしれませんが。
許可が出ているのはあくまで「Bさんの専用住宅」としてであり、でも現在、「現所有者はAさん」でAさんが専用住宅として使っている。これがすでにアウトなんです。
厳密には、結構なハードルがあるものの適切な相談と申請をして、審査にかけてもらい正式にAさんの専用住宅として認めてもらうことで100%無理なわけではありませんが、それなりに難易度も専門性もあるし、今回のAさんもBさんもそもそも今の状況がダメということすら全く知らないで今に至っているわけです。僕の経験値の中でもこのケースはかなり多いのですが、流石にそれで一般の人を責めるのはかわいそうなレベル。
そして、もうひとつ大きな問題は、AさんがBさんから購入する時には、宅建業者が仲介に入って売買契約を取り交わされていたのですが、そのことに全く触れていないこと。下手したら調べてもいないんじゃないかということ・・・、何のために仲介業者がいるのか・・・。
ということでいろいろ深入りすると長くなってしまいそうなので、調整区域に不動産をお持ちの方は十分に気をつけて。
また、冒頭でご紹介した志賀島なんかもそうですが福岡市内では一部の調整区域においては地域の合意形成がととれれば不動産の利活用に規制緩和がされる仕組みなんかも始まっていますので、気になる方は調べてみてください。