辺りが薄暗くなった頃。
コラム作成に行き詰まった僕は気分転換で散歩に出ていて、文章も思いついてきたので、ベンチに座って、携帯にメモをしているときでした。
「すいません、ヨウコウダイにいきたいんですけど、どうすればいいですか?」
頭をあげると、そこには40代くらいの男性と、3歩ほど下がってこちらを見つめる30代ほどの女性。
頭をあげると、そこには40代くらいの男性と、3歩ほど下がってこちらを見つめる30代ほどの女性。
「ヨウコウダイ」がなんなのかも分からなかったし、そもそも状況が全く理解できなかったので話を聞いてみると、どうやら先日の災害で朝倉から避難をし、市内で市営住宅を探しに来られたようでした。
その日は一旦「陽光台」というバス停近くの知人の家に泊めてもらうよう予定だったとのこと。
しかし、その道中キャナルシティの川沿いでに歩いている時に、なぜかキャッキャと遊んでいたらその弾みでバックを川に落としてしまったらしい。
その中には貴重品も入っていたようで、焦って警察を呼びに行って戻ってきたら、もうバックは流されてしまい、どこにいったのかもわからない状態。
警察にももう相手にしてもらえず、途方に暮れながら、フラフラと歩いていると好青年感丸出しの僕をみつけ、助けてくれるのでは、という状況だったみたい。
状況を聞いた瞬間僕には、
「困った人を見つけたらどんな人でも助けてあげなさい。」
という父の言葉が頭に降りてきました。
「困った人を見つけたらどんな人でも助けてあげなさい。」
という父の言葉が頭に降りてきました。
そうだ、この人たちを助けてあげなくては。
そう思い、まずとった行動は、陽光台という場所の特定。
携帯で調べるとまさかの早良区の果ての方。歩いて行くと片道だけでも4時間ほどかかるようでした。/div>
(40代男性)「困ったなぁ〜!!本当に困った!!」
そりゃそうだ、歩いて行けるわけがない。
なので彼らに対し、タクシーに乗って友人の家の前で止め、一旦、立て替えてもらうよう提案したのですが、陽光台のバス停で待ち合わせするつもりだったので、自宅の場所を知らないらしい。
いやいや、どんだけ不運なんだよ。
もはや残る道はヒッチハイク。
しかし・・・・彼らはペンと紙を持ってない。なぜならその二つは今頃那珂川に向かい、ゆらゆらと揺られながら流れて行くカバンの中だから。
(40代男性)「困ったなぁ〜!!どうすればいいんだ!本当に困った!!」
もうどうすることもできない彼らにしてあげることは僕の中ではこの二つだけ。
①返ってくるはずもないお金を渡してあげる
②会社に断りを入れて、陽光台まで車で送ってあげる。
まず①について。
助けてあげたいという気持ちはありながら、途中から感じ始めた彼らに対しての違和感。
・陥ってる状況が不運すぎるが故、逆に怪しい
・男性だけだけど、もはや見た目自体が少し怪しい
・お互いの携帯も流されたバックに流されてしまったバックの中
・困った時のリアクションがオーバーすぎる
これがどうしてもしっくりこない。
万が一、芝居を打たれてしまっていたのであれば、僕はただただ損をすることになる。
②について
昨今、これだけ犯罪が多い世の中で、見知らぬ人と密室の空間にいて大丈夫なのか。
しかも送り先は山を越えれば佐賀県に到達するような人気のない陽光台。
到着した瞬間。首元を刃物でバッサリ、そしてGo To Heaven。
とかく、助けてあげたい気持ちと警戒しまくっている気持ちが同じくらいになってしまった僕はどうするべきなのか、ずっと悩んで何の行動を取ることができずにいました。
「困ったなぁ〜!!もう今日は野宿だな〜!!」
結局僕は何をしてあげることもできず、彼らは立ち去って行きました。
寂しげな背中に見つめながら、自分の行動も見つめなおしていました。
自分の取った行動は親切に値したのか。
はたまた、人情味のかけらもない行動だったのか。
僕は、天使か悪魔か、なんなのか。
みなさんだったらどういう行動を取られますか。
もうすぐ秋です。