二丈のがらくた市でほっこり


2月下旬、牡蠣小屋に加え小富士梅林も見頃とあって、糸島はさらに車の往来が増えてきました。田んぼの土手やあぜ道には土筆採りの人の姿もあります。

のんびりどこかへ出かけたくなる季節。

ぼくもお客様を案内した帰りにちょっと寄り道してみました。

 

「古民家がらくた市」。

二丈の大工さんで、古民家再生に情熱を傾ける藤原一義さんが年に数回、倉庫を開放して開いています。今年66回目ですから、もう30年くらい続いているんですね。

古い家の増改築、解体時に出る建具や家具、古材のほか家電品、食器類、衣料品、小物が倉庫の1、2階を埋めつくし、外にも溢れ出しています。

小物は100円〜、木製の引き戸が20枚くらいまとめて5000円。障子や木枠のガラス窓など、古い味わいの建具が無造作に並べられています。

赤ちゃんを背負った夫婦が、部屋の間取りと寸法を細かくメモったスケッチブックを手に、建具類を丹念に見ていたのが印象的でした。

古い家は建具など寸法がだいたい同じなので、少し調整するだけで流用できることも多いはず。ぼくも久しぶりにDIYの虫がうずきます。

主宰する藤原さんの挨拶文がありました。

これを読んで思い出したことがあります。

藤原さんが管理していた築100年の古民家を、ある青年にお世話させていただいたときのこと。契約後に藤原さんは青年に「あなたはきっと地元に温かく迎え入れられます」と言うのです。

青年は、古家の趣を大事にしながら内部に手を入れて暮らしやすくする計画でした。田舎の集落は血縁者が多く、家がかつての面影を保ったまま残ることをみんな心の中で喜んでいる、と。

古民家の魅力はここで述べるまでもありませんが、長い歳月を経た建物は人とのつながりもそれだけ強いということをあらためて感じたものです。

がらくた市の家具や建具にも同じ空気が漂っているように思います。前の持ち主はどのように、どんな気持ちでこれを使っていたのだろう。そんな想像をふくらませながら、自分の価値観で使いこなしていく楽しみがある。

会場で提供されていた野点のオーガニックコーヒーが美味しく、身も心も温まる一日でした。

matsuo