米を研ぐ。
炊飯器のスイッチを入れる。
味噌汁をつくる。
正月三箇日、上げ膳据え膳のハーレム生活から一気に現実へ。
帰省していた娘が街へ戻り、妻が仕事始めで出てしまうと、家の中はがらんと静まり返った。
家族と出勤日が一日ずれたおかげで、一人でいろいろ考えた。
腹が減るのはヒトだけではない。
さっきからワオ〜、ワオ〜と嗚咽に似た声をあげながらキッチンに立つ僕の足に頭突きを繰り返すのは黒猫の“OTO”である。
猫とともにご飯を食べ、猫とともにドラマを観る。
間違いなく傍目には何をするあてのない高齢者に映るだろう。それでも構わない。今日一日はそんなふうに過ごそうと思った。
ハタラクのは明日から。
昨年の仕事における反省点を挙げればきりがない。正直、滅入ってしまうくらいだ。それら諸々ひっくるめて今年は「大車輪」「確実」「淡々」をキーワードにしたい。
大車輪が回るごとく仕事せよ。ただし一つひとつ確実に。かつ物事に一喜一憂することなく淡々と。あわてんぼうの自分を戒める意味も込めた。
夕方、街に戻った娘から電話が入った。LEDのシーリングライトを買ったからリビングに設置せよという。
いわく「家が暗すぎる。あれはいかん」
個人的には部分照明で光源が目に入らないのが好ましく、天井のスポット照明の寿命が尽きてもさほど気にならなかったのだが、久しぶりに帰省した娘には異常に思えたらしい。
そういえばオフィスでも「そこ暗いでしょ」とスタッフが口々に言うのは、こういうことだったのか。
体温調節がうまくいかず熱中症に陥ってしまう高齢者のように、気づかないというのは恐ろしいものです。皆さん、ごめんなさい。
妻が娘から渡された段ボール箱を携えて帰宅した。
明るさだけでなく、寒色〜暖色の色合いもリモコンで変えられるとは。
1月4日、昨年とは違う“明るいわが家”が始まりました。