気が付けば、ぼくの恒例行事となって、もう5回目になる。
じゅんこさんがreallocalでも取り上げた、今年で10年目になる博多ライトアップウォーク。
今年もたくさんのお客さんが、博多の夜にゆらめく幻想的なお寺を楽しんでいた。
総合監修は、松下美紀照明設計事務所。
福岡タワーの照明設計を手掛ける、国内外で活躍する西日本を代表する事務所。
あまり知られていないが、博多ライトアップウォークは、それぞれのお寺を各照明メーカーが担当し、コンセプトやデザインを決めて、自社製品を駆使した空間づくりにしのぎを削っている
松下美紀照明設計事務所はその調整役として全体をまとめている。
松下先生との出会いは、ちょうど5年前。
大学院生の頃に受けた、照明デザインの講義。
ちょうど研究室のゼミ長だったぼくは、先生をお迎えに行く役目を受けた。
ドアを開けると、柔らかい物腰と、相手を安心させるような笑顔。
ろうそくの灯りのように、その場を柔らかい雰囲気で包む、照明デザイナーとはこういう人たちのことなのだと思った。
(※後にそうではないことを知ることになる。)
授業の内容は、照明デザインの授業と、それを受けてチームでプレゼンテーションするというもの。
ぼくたちのチームは山の上にある夜景スポットの照明計画を提案した。
真っ暗な夜道に灯りがないと危ないが、夜景を見るのに照明は邪魔。
そこで、そこの灯りと暗がりをリデザインした。
人(カップル)が来るとその場所だけ、明かりがゆっくり消えていく仕組みだ。
今思えばちょっとロマンティックすぎるが、先生は今でも覚えてくれている。
田舎者のぼくには街なかの灯りは少し明るすぎる。
設計事務所に勤めていた頃、毎日夜中まで仕事をする中で、煌々と照らしてくる無数の蛍光灯がきらいだった。
灯りは使い方次第で、魔法にも毒にもなる。
毎年ライトアップウォークに来るたびに、松下先生が「月」の明るさが大好きだと、話してくれたのを思い出す。