住み継がれる家


少し前の話ですが、ちょっと嬉しかった出来事がありました。

まだ福岡R不動産がスタートして間もない2008年の冬に出会った部屋、入居者さん。大濠公園のほとりにある物件でした。

 

それからずっと、長い間住んでいただいていて、そして今年、ついに県外へお引越しをされてしまうことに。何となく寂しい気持ちになりましたが、そのことを教えてもらった時に仰られたのが「私もこの場所がすごい大好きで手放したくない!なんて思ってたんですけど、同じようにこの場所のことを想ってくれて気に入ってくれていた友人がそのまま契約をして借りてくれることになりました!」と。

 

物件はレトロマンションで内装や設備も古かったり、お世辞にも優等生というわけでもない。でも、この部屋には目の前にある大濠公園の緑を写し出す窓があり、築何年とか駅まで何分とか設備が云々とかそんなことよりも、言葉では伝えにくいのですが何だか心が豊かになれそうな窓辺の気持ち良さと雰囲気の良さがあった。

s096

 

そして、同じようにこの場所を想ってくれる人がいて住み継がれてゆくことに。

だからこの部屋は退去があったけど、市場に新たな入居の募集が出ることなく新たな主と共に新しい生活が始まっています。

僕にとっては初心に帰るような出来事で、福岡R不動産というサイトを通して伝えて行きたかったのはこう言う住まいの価値なんだと改めて想い直す出来事でした。

 

そう言えば2008年、僕は個人的に大好きだった大濠公園の周りのマンションを地図を片手にしらみつぶしに当たっていました。

 

今でこそその風潮は変わって来たように実感していますが、その当時、ほとんどの不動産情報サイトなんかでは大濠公園駅徒歩何分!とこそ書いてあっても大濠公園の目の前に建っていて部屋からの景色がとても気持ちいいとかそんな記載があったのはごく一部で、外観と間取りだけでその他の写真は無しとかも当たり前、せっかく写真が載せてあると思ったら窓辺に素敵な景色が広がっているのに逆にバルコニー側から(その景色を背にした状態で)室内の写真だけをバシッと掲載してあったり、その物件が持つ本来の魅力を伝えているとは到底言い難いものばかりでした。

 

それでも、地道に探しまわってきた物件の魅力に共感をして入居をして下さったたくさんの方々たちがいて勇気をいただいたのを思い出します。

そしてこれからも、福岡に眠っている本当に魅力的な物件を発掘して、衣・食に負けないくらい住の楽しみをお伝えしていけたらと改めて誓った日となりました。

hasegawa