世界最狂のスラム「九龍城砦」にドキドキが止まらない5つの理由


皆さん、毎日35度を超える酷暑が狂ったように続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。友達や家族や親戚の方々と海や山や川に行かれましたか?僕は家で上半身裸で甲子園を観ていたのですが、気づいたらお盆が終わってました。
 
そんなことはさておき、ひょんなことからとある歴史物を知りまして、調べれば調べるほどドキドキが止まらなかったので、是非これはと思い、皆さんにも共有させて頂きたいと思います。
 
それが、「九龍城砦」

$世界最狂のスラム「九龍城砦」全景写真

 
 
1993年まで香港にあったスラム街。ご存知の方も多いと思います。
このワードで検索をかけると当時の情勢や生活の様子などが沢山出てきますが、あまりに沢山ある情報の中から、僕がドキドキが止まらなかった5つの事柄について、今回発表させていただきます。

$香港にあったスラム街「九龍城砦」-ビル群

 
 
◆九龍城砦にドキドキが止まらない理由①
「完全なる無法地帯である」
 
香港が1997年までイギリス領であったのはまだ記憶に新しいですね。これは1841年にイギリスがあへん戦争で清国に勝利し、1898年から99年間の期限で租借した為です。しかし九龍だけは租借条約により清国の領地のままに。いわゆる飛び地というやつです。しばらくは清国の役人によって統治されていたのですが、この役人らが祝い事で爆竹を鳴らしたところ、イギリス側から「うるさいから出て行け!」と役人だけ送還されてしまい、それ以降九龍は英国も中国の法律も適用されない、無法地帯と化しました。
 
「無法地帯」と聞くと殺人が日常的に行われ、ドラッグが当然のように飛び交う風景なんかを想像してしまいますが、日本の古き良き下町社会のような、和気あいあいと連携しながら生活していたようで。
 

九龍城砦に住む子供

 
住民から自警団が生まれ、治安を維持しており割と平和だったとか。でも、確かにそうですよね、法が無いということは、ちょっとの盗みで殺される可能性もあるし、住む場を求めた結果居付いたのに、何か悪さを犯したらここにいれなくなることは明白。だとしたら和を乱さずに暮らす方が得策ってわけです。
 
 
◆九龍城砦にドキドキが止まらない理由②
「違法建築のオンパレード」
 

九龍城砦ビル2

 
無法地帯ということは、建築基準法なんてのも当然スルー。杭打ちはなし、最初は3階まで鉄骨で建てて、その後段々と階を重ねていく手法などもあったようで、まさに行き当たりばったりな建築。

九龍城砦に建てられたバラック

 
現地では水が大変貴重でコンクリートの精製には苦労し、足りなくて尿を入れたなんて話も。一応、14階又は45m以下の高さ規制があったそうですが、増築に次ぐ増築で守られたのは高さだけ。(階数はオーバーしていた)。でもこれ高さが守られた理由は、すぐ側に啓徳空港があって離着陸する飛行機と接触するからなんじゃないかと個人的に思ってます。実際ぶつかってくるんじゃないかというほどスレスレで飛行していたとか。

九龍城砦上を飛ぶ飛行機

 
ビルもペンシルビルという棒のような建物が林立し、間がほぼ無く、お互い支えあってる状態でよく崩れなかったと感心してしまいます。尚、賃料は他の地域の1/4程度と激安。人が集まってくるのも納得です。
 
 
◆九龍城砦にドキドキが止まらない理由③
「人口密度がハンパない」
 
写真のとおり、狭い敷地に建物がひしめき合ってますが、九龍城砦の敷地は26,000m2(約200m×120~150m)ほど。ちなみに天神中央公園が31,000㎡です。
ここに最盛期1990年代初頭にはなんと5万人もの人々が暮らしていました。想像してみて下さい、天神中央公園に5万人が集まって暮らす様子を・・。
人口密度は約190万人/km2となり、畳1枚に3人が住んでいる計算に。これは世界で最も高い密度だそうです。考えただけでも発狂しそう。

九龍城砦内部の写真-廊下

当然、下水処理などちゃんとしているわけがなく、暗い通路にあんなものやそんなものが滴り落ち、ヌルヌルしていたのだとか。
 
 
◆九龍城砦にドキドキが止まらない理由④
 
「意外にしっかりした施設も」
きったないビル群ばかりを想像してしまいますが、意外にも、幼稚園、小学校、老人ホームなどしっかり建てられています。
 

九龍城砦の施設

 
九龍城砦は建物が積み重なっている為、光が入るところがほとんど無かったのですが、これらの施設は、中庭のような光の当たるところにあったそうで、お年寄りや子供を大事にする風潮があったことを感じさせます。
 
 
◆九龍城砦にドキドキが止まらない理由⑤
「メジャーな職業が意外だった」
 
こんだけ狭いところに沢山の人が住んでいると、どんな仕事で生計を立てているのかが気になるところですが、メジャーな職業のひとつに歯科医がありました。当然無免許で開業可能ですが、殆どは中国で免許を持った医師ばかり。
 

九龍城砦に揚げられた歯科医の看板

 
ここの看板もほぼ全て歯科医だそうです。
 
ちなみに、前述の通り、水は超貴重。水道屋(といっても地下水組み上げて各家庭へ配水するだけだけど)はかなり幅を聞かせて、法外な水道料金をふんだくっていたそうです。法外といっても法ないけど(笑)
 
 
 
・・・とまぁ、いくつかかいつまんで発表させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
この九龍城砦、1994年に香港政庁によって取り壊され、跡地は公園になっており、完全に過去の物となってしまっています。取り壊しの際も、住民の反対が強く揉めに揉めたそうですが、最後の最後まで出てこず粘ったのは取材中の日本のテレビクルーだったという間抜けなこぼれ話も。
 
 
結論、僕が思うのは、結局、法ってなんじゃい?という。無法地帯のイメージが先行しましたが、調べても調べても住民間の争いに関する情報は出てこず、むしろそれぞれが独特のコミュニティーに根付いて、平和に暮らしていたような記述ばかりでした。まぁ、もちろんインフラが整っていない為に、上下水や電気などの問題も山積でしたけど、平和に暮らすために一番大事なのは、やっぱりベタだけど価値観の共有だったり、思いやりなんだろうなぁという感想です。
 
 
これをきっかけに九龍城砦について興味を持たれた方、文献なども沢山出ているようですので是非チェックしてみて下さい。