住環境を考える② 川編


 

前回の池編で、「福岡にこんな池があったなんて・・・」と言う反応を頂いたところで、今回は動く水、つまり川の話を少ししてみたいと思います。

上の写真はご存知、那珂川の水景。福岡にお住まいの方だけではなく、対岸のキャナルや川沿いに並ぶ屋台の姿を通して、全国的にも福岡の街を象徴するイメージの一つになっていると断言してしまっても、たぶん過言ではありません。

だからこそサイト上で、エリアごとの魅力を探る特集を組んだ際にも、この那珂川を中心として近隣の町に住む人達の姿をクローズアップさせて頂いた事もありました。

でも池と違い川には、実はもう一つ別の魅力があります。それは一つのイメージには留まらない多面性。

 

例えば、これは先程の写真より河口寄りの那珂川の姿です。

西に中洲という九州最大の繁華街、東に昔ながらの川端商店街。2つの異世界が、モーゼもびっくりの線引きで向かい合っている事も驚きですが、両岸から一段下げたところに作られた遊歩道や、商店街と遊歩道の両方にエントランスを設けたテナントの姿は、ランドスケープデザインなんて言葉がクローズアップされるずっと前から、川とそこに住む人々の自然な交流があった事を物語っています。

うだるような夏の日、ヒートアイランドジャングルの中で蒸し焼きになりそうな都心の人々に、自然な風を届けてくれるのも、都心の川の大切な役割。とってもありがたい。

そして流れを遡って南区へ入れば、遊歩道はもっと広く、緑地帯や公園へと姿を変えます。町名で言うと、塩原~三宅~老司あたり。

常に1列目を目指したい私達にとっては悩ましいところなのですが、「せっかくの景観なのだから、みんなで楽しもう!」とばかり大らかさは、そのまま街の気質にも通じるところがあって、独り占めしたがった自分が何だか恥ずかしくも思えてくるのです。

川に近付くほどに駅からの距離は増えますが、子育て世代にはコストのかからない河川敷で遊ばせられる得点もあるので、都心とどちらが良いか単純に比べられるものでは無いと思います。キャッチボールだけは、コントロールに自信がついてから。

本当はここから、上流である那珂川町へ歩みを進め、水源である花畑ダムまで行ってみたかったのですが、時間の都合でカット。自分の飲んでいる水が一体どこから来るのか興味があるので、いつかこっそり行ってみたいと思います。

 

さて、那珂川が東の代表なら西の代表は、室見川。

都心を駆け抜ける那珂川と違い、こちらは河口付近の福岡タワーやドームと言った近代的背景を除けば、ゆるゆると牧歌的な風景が続きます。

とは言えこの川には美味しい側面も。今晩のおかずに・・・と河口での潮干狩りに興じたり、初春に採れる白魚を目当てにやって来る人間に、川の生物達は「賑やかなシーズンが来たな~」とぼやいているのかも知れませんが。

人慣れしているせいか、写真右下の鴨のつがいも大して逃げることなく食事を続けていました。これも福岡ならではか・・・筑前煮の残飯らしきものを掻き分けて川底の藻を食べていたのがシュール。鴨も要らない人のゴミ、きちんと持ち帰るのがマナーです。

 

そうそう、福岡にはまだ他にも川があります。

左は大宰府に水源をもつ御笠川、右は河川改修工事中の樋井川です。近隣の方には怒られそうですが、木曽・揖斐・長良川の木曽三川に慣れ親しんで育った私にとって、正直この規模では少し物足りません・・・。

それでも、池か川かと言われたら個人的には川が好きです。もちろん池の持つ生態系の豊かさも捨てがたいのですが、山から海へと戻ることなく流れ続ける水の姿は、私達が歩む日々や人生の姿そのものだから。だからこそ往年の名歌にも川を歌ったものが多いのでしょう。

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