薪ストーブは人を3回暖めてくれる


糸島在住の松尾です。
さて、今日は冬の田舎暮らしの定番「薪ストーブ」について書いてみます。。

郊外や田舎に住まいを求めている人の中には、薪ストーブのある暮らしを思い描いている方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

薪ストーブは、石油ストーブや電気ストーブの「刺さるような」熱さとは異なる、「柔らかい」暖かさで部屋中をふんわりと包んでくれます。ちろちろと上がる炎を見ていると時のたつのも忘れるほど。

そこで、薪ストーブに必要な道具や薪の集め方のアウトラインをお話ししようと思います。

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わが家の薪ストーブは無骨で最低限の機能しかありませんが、空気弁の調整で一定の温度をキープしたり、翌朝まで火種を残しておいたりもできます。

僕が糸島で薪ストーブを使うようになって20年。薪の調達から薪割り、ストーブや煙突のメンテナンスまで、すっかり家事の一部になりました。毎年10月半ばを過ぎて気温が15度を下回るようになると、火が恋しくなります。

薪ストーブは、人を3回暖めてくれるといいます。1回目は薪を割るとき、2回目は薪を室内や小屋に運び入れるとき、そして最後がストーブに火が入ったとき。これらに薪ストーブの魅力が集約されているように思います。

薪は購入する手もありますが、薪ストーブライフをより楽しむなら、できるだけ身体と時間を使って薪を準備することをおすすめします。

糸島には里山があちこちにあります。雑木が伸びてくると田畑に陰をつくったりするので、農家などから伐採を望む声は少なくありません。そういったところが狙い目です。糸島には、「薪とり会」といって薪ストーブ愛好家10家族ほどが協同作業で薪を調達するグループもあります。

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上の写真は「薪とり会」が収集中の来シーズン用の薪。冬場は毎週1~2回、集まって作業しているので、これからどんどんストックが増えていきます。

薪の準備には専用の道具が必要です。まずエンジンチェーンソー、そして斧。よく整備したチェーンソーは、力を入れなくてもバターナイフのように滑らかに丸太に食い込んでいきます。立木を伐採するときはそれなりの切り方とテクニックが要りますが、使い慣れてくると微妙なアクセルコントロールの面白さも感じるようになります。

オフロードバイク乗りの先輩は、バイクを操縦するのと同じエクスタシーをチェーンソーに感じると言っていましたが、分かるような気がします。

刃は砂を噛んだりすると一気に切れ味が落ちます。切れないチェーンソーは作業効率が悪いだけでなく事故につながることもあるので、作業を中断してでも、こまめに丸ヤスリで刃を研ぎます。これ、ポイントですね。

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僕が愛用しているチェーンソーはドイツのスチール社製。発売後20年は経過していますが、消耗部品の交換だけでしっかり現役です。

キャブレターの分解清掃、消耗部品の交換なども自分でできるようになりました。僕は機械いじりが好きなので、これらは趣味の範疇に入るのかもしれません。機械が本来の性能を取り戻すのは、とても気持ちのいいものです。

30~40センチの長さに玉切りした雑木を斧でパコーン、パコーンと割っていくと、次第に身体がほてってきます。クヌギを割ると、パァッと清涼感のある香りを放って、なんともいえない心地よさがあります。

友人には「わが家の暖房費はタダである」と申告していますが、実情はちょっと複雑。薪割りは楽しい。無心にやっていると真冬でも汗をかく。そこで「のどが渇く=ビール」という図式がすっかりできあがっていました。実際、薪割りの手を休め、切り株に腰を下ろして飲むビールは最高です。チェーンソーより燃費が悪いのは間違いなく僕ですね。

ともあれ、大きな音を放つチェーンソーが思い切り使えるのは、精神衛生上、たいへんよろしい。糸島にはそんな環境がまだまだ残っていますよ。

※福岡R不動産で僕が連載中の「糸島リアル移住日記」もどうぞ。

matsuo