上毛町でDesignBuildFukuokaという学生が古民家リノベーションの設計・施工を行うプロジェクトが進行中です。
12月-1月にかけて3回の設計合宿を行い、作り上げたプランを、現在1ヶ月かけて施工しています。
このプロジェクトは、参加する学生の教育プログラムも兼ねていて、ゼロから作ったプランを、
自分たちの手で形にしていくところに、面白さ・新しさがあります。
瀬戸内海を見渡せる高台に建つ古民家が舞台。
母屋・蔵・納屋というオーソドックスな農家住宅の構成。今回は母屋をコワーキングスペース・イベントスペースに作り変えています。
リノベーションはどこの現場でも、天井や床を壊してみて始めてわかる事実(問題)も多いです。
今回は築100年の古民家ということで、現在の建築基準(耐震基準)からすると、かなり頼りない構造であったり。
また、セルフビルドという要素もあり、壊しながら作りながら、施工内容を考えていくことが必要。
昨年、福岡市内で行ったDesignBuildプロジェクトでも感じましたが、このプログラムを通した学生の成長スピードには驚かされます。
設計時期には緩めだった空気も、張り詰めてきていて、各自が全体の施工の流れ自分の役割を完全に把握できているため、頼もしさを感じました。
大学の建築学科では、想像上のプロジェクトでのプランを作りまくるというのはベースであり、実現性はほぼ問われません。
そのため、どうしてもふわふわした提案が多く、実践的知識も経験も浅いままになりがち。そこで、学生は設計事務所でインターンやバイトをしたりするわけですが、基本的には模型製作程度で終わってしまうので、あまり解決策にはなりません。
その点、DesignBuildでは、考えたプランを実際に作るため、その過程で社会人経験1年分くらいに相当するような効果が得られるのではないかと思います。
完成した建物は実際に使用されて、よくもわるくもフィードバックを受けることができるし、かつ、学生にして実績(ポートフォリオ)を持てるというのは貴重でしょう。
製材されて施工が簡単な建築材料はあまり使わず、地元の木材を加工しながら作っています。
注目されがちなプランやデザインだけでなく、材料や構造にもかなり詳しくなっているようでした。(うらやましい)
とはいえ、実際に作るのは、相当な労力を要します。今回は1ヶ月間、平日は泊まり込みでの作業。
理想を追求しつつ、期限に追われつつ、予算もありつつ。
その分、完成した時の達成感はあるはず。
壁の仕上げのディテールを検討する様子。
数カ月後には、オープンスペースとして稼働し始める予定ですので、引き続きお知らせさせていただきます。