梅雨入りしてから一度パラッときただけで雨らしい雨が降っていません。
田の水が足りないと農家の方が嘆いています。
家から下ったところにある田んぼでは6月17日、田植えが始まりました。
こちらは地下水も併用して田に水を張っています。
これだけ雨が降らないと家の井戸水も心配です。
被害が出ない程度にたっぷり降ってほしい。
さて、夏といえば思い出す光景があります。
糸島に越してきてから5〜6年続いた夏の習慣。
雲の切れ間から太陽が顔をのぞかせると、海がいちだんと輝きを増した。きっぱりと夏の海だ。
「行ってきまーす」
「行ってきまーす」
妻と娘は待ってましたと言わんばかりに家を飛び出した。
二人は今年に入ってからすでに数えきれないほど海へ出かけている。わが家では例年、3月頃から磯遊びが始まり、気温の上昇とともにいよいよ本格化するのだ。
アサリやビナ、ワカメなど二人の“水揚げ”がよく食卓に上る。
「絶対食べてやる、という気持ちがないとなかなか獲れるもんじゃないとよ。大きくて獲りやすい場所がちゃんとあるもんね」
宮崎の青島で生まれ育った妻は、海の遊びにかけては独特のスタイルを持っている。
岩場を歩き、潮だまりにカニや魚を見つけてはしゃがみこむ。これを何度も繰り返した後、砂の上に足を放り出し、カゴに忍ばせた赤ワインをあおって(注1)、ぼぉーっと海を眺めるのだった。
7月、わが家では“ウニ漁”が始まる。
妻は素潜り用のブーツと手袋をつけ、水着の上にモンペとTシャツを着て海に入る。
「プハーッ。あったぁ、大きい!」
バフンウニやムラサキウニを2個、3個と、腰につけた網に放り込む。網は玉ネギのネットを流用している。
これは大きい、と喜んで引き揚げてみると、意外に小さかった。水中では2倍くらい大きく見えるのだ。
「ビール、ビール」と私はうわごとのようにつぶやいて海から上がるのだが(注2)、妻はいっこうにその気配を見せない。少々とったところで、食べられる量は知れている。「たらふくウニを食べたい」という欲求が妻を駆り立てているのだった。
よく遊び、よく食べ、貪欲に海を楽しんだ妻は、翌日、家事いっさいを放棄して睡眠をむさぼるのである。
陽気さとけだるさが渾然一体となったわが家の夏がいよいよ始まった。
- 注1…家から“漁場”まで約500m、車は使いません。
- 注2…ウニ漁のポイントまで車で10分足らず。どちらかが飲まないことにしています。