ご存知ですか、小値賀島古民家ステイ。
日本の離島が遠方からの旅行者を集め始めている、と話題になり、東洋文化研究者(という肩書きでいいのかよくわかりませんが、Wikipediaより。)のアレックス・カーさんが改修設計をしたことでも有名です。
長年九州に住んでいながら小値賀島が五島列島にあることを知らなかったり、五島列島の位置さえも知らない状態でしたが、縁あって小値賀島古民家ステイを運営している「おぢかアイランドツーリズム」の代表小辻さんとお会いでき、この度行くことができました。
日頃不動産プロデュースをしているだけに、まず興味を持つのが、古民家ステイの規模感。
人口2600人の小さな島に、5棟7軒の古民家を戸当たりウン千万円(びっくりな数字)もかけて改修しているという予算感には、どのような収支構造からこのプロジェクトが成立しているのか興味津々でしたが、これは小値賀町(つまり町民)が吸収合併されずに独立保持の道を選び、実行権を持っていたこと、そしてプロジェクトの理解を求めて中心メンバーが奮闘したことにあるようです。
当然反対意見もある中で、本当によくこのプロジェクトが立ち上がり、古民家再生が実現したものだと感動するものがあります。
前段が長くなりましたが、小値賀島古民家ステイをさらっとご紹介。
福岡からだと博多港発の深夜フェリーか、佐世保発フェリー。
今回は佐世保発で行きましたが、前日の深夜便で行った別のメンバーは朝着いてゴルフをするという強行日程。
島の雰囲気はどこまでもほのぼのしていて、懐かしくもある。
そして、今回泊まったのは古民家は、鮑集(ホウシュウ)という棟。
他に6軒が島のあちこちにあり、今後も増やす計画はあるそうです。
石垣がものすごくシャープ。
前泊組がすでに寝た形跡あり(笑)
ダイニングテーブルから港が見える。
日本家屋でありながら、ソファースタイルを埋め込むアメリカ人的デザイン。
夕食は改装された古民家の中でも最も立派な建物。ここレストラン藤松は、旧藤松家という捕鯨・酒造りで栄えた家系の住宅で、庭に広がる木々の間を抜けて行くと、海までつながっていました。
木立を抜けて行くと。。
海へ出ました。昔は船着き場として使っていたそうな。どこか神秘的。
今回、タイミングよく設計者のアレックス・カーさんが来島されており、お話を伺うことができました。
まずこのテーブル、長さ8mの一枚ものの無垢板です。アフリカから仕入れたんだとか。
天井を抜いていい感じに梁・柱が出てきている。
アレックスさんの書。著者であり、建築家であり、書家である。なんとも多彩です。それにしても、アメリカ人とは思えない。
と、こんな一泊の弾丸ツアーでしたが、とても楽しめました。
九州からの来客は当然多いとして、東京など遠方から3-4泊の日程で泊まりに来る人がかなり増えているとのこと。外国人も、オーストラリアを始め徐々に増えているそうで、こういった島独自の「売り」があるというのは本当に強いと思いました。
「ちくご移住計画」や「上毛町ワーキングステイ」などDMXでは移住促進のプロジェクトを行政とともに進めておりますが、やはり大事なことは共通していると思います。
地域がその魅力を知り、それを増幅して、外に伝えること。
小値賀では島に残る古民家がその一つであり、それをアレックスさんの手により増幅し、「暮らすように島を旅する」というキャッチフレーズで小値賀観光をPRしています。PRも含め、本当にうまいなぁと感心してしまいました。
もう一つ。人口2000人台の過疎進行中の地域が、吸収合併を拒み独立の道を選んだことは非常に大きいと思います。数年前、隣の島である宇久町が佐世保市に吸収されましたが、小値賀町は佐世保市の合併提案を蹴っています。吸収されれば事実上決定権がなくなってしまいます。「町」が「市」にお伺いをたて、予算をいただくという構造になった時点で、このような先進的なプロジェクトを立ち上げることは非常に難しくなっていたでしょう。
島の魅力をストレートに感じつつ、独特の雰囲気でおもてなしをしてくれる。
それが小値賀島。
ぜひ、次のお休みは小値賀で。
あ、なんと福岡⇔小値賀の直行チャーター便が今年7月20日から実験的に始まるそうです。
この機会にどうぞ。