戦略的リノベーション論~数字大好き編~


さて、前回導入部分だけで力尽きてしまい、「入門編」ということで誤魔化してみましたが、バレてましたでしょうか。
前回を読んでない方は、ぜひ前回の記事からどうぞ。
 
リノベーションという選択肢をとる際の3つ判断基準の最後の一つです。
 
そもそも、リノベーションというそれなりに大きな投資をするときに、このお金はどこから来るのでしょう?
当然オーナーが出すのですが、それは自己資金なのか借入なのか、調達手段も様々です。
 
そんな中で、仮に300万円という額の改装投資をするのであれば、どれくらいのリターンがあるべきでしょうか。
個人的には、利回り10%くらいは欲しいと思います。
 
ここからがややこしいのですが(いや、ぼくが勝手にややこしく考えるのですが)、利回り10%というのは、300万円投資して月8万円=年間96万円収入がある場合の利回り(この場合32%)とは違います。
 
考えるべきは、前回の選択肢2(原状回復)と比較してどれだけ価値を生み出したかの利回りです。勝手にバリューアップ利回りと名づけましょう。
選択肢2は30万円の原状回復で、賃料5万円で貸せて、
選択肢3は300万円のリノベーションで、賃料8万円で貸せるのでした。
 
ということは、ここで考える利回り(バリューアップ利回り)は、
バリューアップ賃料(8万円-5万円) ?12ヶ月 ÷ バリューアップ投資額(300万円-30万円)
であり、この場合13.3%になります。
 
つまり、リノベーションしない場合には、30万円の投資で5万円で貸せるのに対し、リノベーションする場合には、さらに270万円投資すると3万円高く貸せるという価値上昇分の利回りを求めています。
 
30万円なら自己資金で出せるけど、300万円(や数千万円)となると、銀行等からの借入をする場合もあり、その投資が金利分に加えてどれだけ利益を生むかの判断をする必要があると思います。
 
さらにマニアックに考えたいのであれば、借入分をレバレッジと考え、エクイティに対する利回り(ROE)とかの数字をこねくり回しても良いですが、まあそこまではよいでしょう。
 
以上がぼくらが賃貸物件のリノベーションを検討する際に考えるステップをシンプルにしたものです。
 
実際にはその立地にマーケットがあるか、どんな価格帯・面積帯のニーズが多いか、などの検討や賃料をマーケットのボリュームゾーンに合わせていきながらリノベ予算を調整するフェーズもあったりするのでもう少し複雑です。
 
仕事としてやっている立場からすると、かなりワクワクします。全く新しい商品を生み出して、それが売れていくのを見届けられるわけですから。
たまに賃料で勝負しすぎてヒヤヒヤするときもありますが、それも商品企画の醍醐味でしょう。